私の住む豊橋市と、私が属する政治団体に関係する地方議員が属する宮崎県小林市で、民主主義の危機を感じる出来事がありました。
豊橋市では2024年11月、新アリーナ計画の中止を公約に掲げた長坂尚登候補が約4万5千票を得て当選しました。
長坂市長は就任直後、契約解除に向けた手続きを開始しましたが、計画推進派が多数を占める市議会は2024年12月26日、「契約解除に議会の議決が必要」とする条例改正案を可決しました。
地方自治法では契約解除は市長の権限であり、「議会の議決を経て締結した契約は解除にも議決が必要」とする条例は、他の自治体では例がありません。
この動きは選挙で示された民意を無視し、二元代表制のバランスを大きく崩す恐れがあります。長坂市長は愛知県に意見を求めたものの、アリーナ推進派の大村知事からは対応は言うまでもなく審査申し立てを棄却され、最終的に名古屋地裁に提訴し、議決の取り消しを求めています。
市民は、約束を守る長坂市長を支えることが重要ですし、この条例が施行されれば、他自治体への影響も大きいでしょう。
一方、小林市議会では2025年3月議会で議員削減条例案の賛成討論の中、最大会派の小川議員が「市民の負託を受けたのが1500人の議員と500人満たない議員では、役職がつかない限り同じ扱いでしかない」と述べました。
票数の少ない議員の信任性が低いという考えも見られましたが、地方議会の議員は全員対等です。
また、人口の少ない地域の議員は票数が少なくなるのは当然のことで、それを理由に軽視するのは民主主義の根本に関わる問題です。
さらに、小川議員は議席削減に賛成しつつ、議員報酬の引き上げを求めており、結果として税金の削減にはつながりません。
豊橋市議会の動きは市長の権限を制限し、選挙で示された民意を無視するものです。
小林市議会では、少数派や人口の少ない地域の議員を軽視する発言がありました。
これらの事例は、いずれも地方議会の民主主義の基盤を揺るがすものです。
私たちは、多数派が独裁化しないよう監視し、少数派や民意を尊重する政治の実現に声を上げていかなければなりません。